歯科口腔外科の診療範囲
歯科口腔外科の診療範囲・職域
歯科口腔外科の診療範囲・職域

厚生労働省(旧厚生省)の「歯科口腔外科に関する検討会」(平成8年5月)
 その中で「標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域について」という議題があり、歯科医師が単独で診療することができる領域として、以下の領域が意見として取りまとめられました。全文はこちらからダウンロードできます。

「標榜診療科としての歯科口腔外科の診療領域の対象は、原則として口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底に、軟口蓋、顎骨(顎関節を含む)、唾液腺(耳下腺を除く)を加える部位とする」。

 従いまして、歯科医院においては、たとえば「鼻筋を整えたい」とか「目元が気になる」とかいった「もっぱら美容のみを目的とした」ご要望には、残念ながらお答えしにくいのが現状のようです。

ヒアルロン酸治療の対象となる「口唇」について
 「口唇」といいますと、一般的には唇の赤い部分をイメージしますが、医学的(解剖学的)には、次のように定義されています。

【口唇の構造】
 皮膚部・移行部・粘膜部の3部に区別。皮膚部は一般の皮膚と同じ構造で、汗腺、毛包腺(脂腺)があり、成人男性は須毛を生ずる。皮膚部と粘膜部との移行部は角化しない重層扁平上皮で毛はなく、固有層は血管に富み、透明な上皮を通して赤く見え、いわゆる唇紅(あるいは赤唇、赤色唇縁)をきたす。口腔粘膜に続く粘膜部は、粘膜で覆われ、口唇腺が導管をもって開口する。口唇の基礎をなすのは口輪筋で、口裂を取り囲み縁部と唇部とからなり、口裂を開閉するのに役立つ。
(医歯薬出版:歯科医学大辞典より)

 つまり、口輪筋に裏打ちされた部位が「口唇」となります。治療の部位で言いますと、法令線、上唇と鼻の下縁までの部分、口角溝、下唇と顎までの上約半分(顎先は入りません)となります。
下の写真の領域です。



 逆に、上の写真の領域であれば、歯科医師の診療領域であるということが、厚生労働省(旧厚生省)の検討会の議事要旨(上述)に明文化されており、十分な知識と技術をもって行えば、法的にも問題は生じないことになります。
 
歯科疾患・歯科治療に起因するお口元の審美回復が原則です
 上記のように、歯科医院において口唇領域の治療を行うことは、法的にも何ら問題はないのですが、もっぱら美容形成のみを目的とした治療はあまりお勧めは致しません。
 従いまして、歯科口腔外科領域の疾患による形態の変化に対する口唇領域の審美回復、一通りの歯科治療を行った上で、なおかつより一層の審美回復をご希望される場合などが、ヒアルロン酸を用いた口元の審美治療の対象と考えております。

審美的な基準は個人差が大きいもの
 とはいえ、「見た目」の判断基準は、結局のところ患者様ご自身の「主観」によるものが大きいかと思います。患者様の価値観を第一に、各種法令を遵守し、より安全で効果的な治療ができるような体制作りが必要不可欠となります。


 また、昨今の情勢をかんがみ、日本口腔外科学会(HP)では、歯科口腔外科の診療内容について、わかりやすくまとめています。詳しくはこちらをご覧くださいませ。
 なお、美容に用いるヒアルロン酸製剤は、海外からの個人輸入となります。その際に、薬監証明(輸入許可証の交付)を得る必要がありますが、現在では、歯科医師免許証(写し)と必要理由書における歯科治療への応用の必要性の記載にて、各厚生局にて受理されています。従って、治療目的や治療部位を歯科口腔外科領域に明確に限定する限りにおいて、歯科医師法・医師法への抵触は考えにくいということになります。



Q and A
よくあるご質問に、Q and Aでお答えいたします。

Q.痛みはありますか?
A.ヒアルロン酸を敏感なお顔に注射するわけですから、多少の痛みを伴います。特に肌の浅い部分、真皮層には痛点があり、 注射のチクッという痛みは我慢できるという方も、その後薬剤を押し出す時にまた違った痛みを感じることがあります。歯科医院では、ご希望の方には麻酔をして行いますし、リドカインという麻酔成分の入った製品もございますので、施術前に十分ご希望をカウンセリングでお聞きいたします。ご安心くださいませ。

Q.効果はどのくらい持続しますか?
A.ヒアルロン酸は元々軟骨や関節など、生体内に存在する物質ですので、自然に生体内に吸収されます。個人差や使用部位、メーカーによって持続性が違いますが、平均して半年から1年程度持続効果がございます。

Q.治療後の注意点は何かありますか?
A.日常生活への支障は特にありません。注入は1カ所につき短時間で終わり、その後すぐにメイクすることも可能です。多少赤みが残る場合がありますが、ほとんどは当日のうちに消えます。

Q.副作用は?
A.ヒアルロン酸は元々人間の体内にある成分ですので副作用を起こす可能性は低いことが実証されています。本院ではすべて非動物性の細胞培養によって得られた精製されたヒアルロン酸製剤を使用していますので、狂牛病など感染症の心配がありません。またスキンテストも不要で、アレルギー発生率も0,1%未満と低いのが特徴です。したがって、たとえばコラーゲンですとカウンセリングとスキンテスト後、1ヶ月たってからの施術ですが、ヒアルロン酸の場合は、当日の施術も可能です。

Q.費用はどのくらいかかるのですか?
A.健康保険の適用がございませんので自由診療になります。クリニックによって、また部位や注入量によっても施術料は変わってきます。



Copyright (c)2009 Society of Oral Integrative Medicine All Rights Reserved.